今回は、Windows XPやWindows Vista, 7などのサポート切れで、使えなくなったパソコンや、スペック(性能)が低くて使わなくなったパソコンを、LinuxというOSを使って活用しませんか、というお話です。

わたしとLinuxの出会いは2018年。
(正確には、それ以前にRaspberryPiで出会っていたのですが、「Linux」という言葉については完全スルー)

もっていたパソコンの1台 Windows Vistaのサポート期限が2017年4月に切れていたのですが、そのまま処分するのももったいない、何か良い方法はないかなぁ、と探したときに見つけたのがLinuxでした。

このときは、本屋で見つけた日経Linuxという雑誌に「古いパソコンもスイスイ動く!軽量Linux大集合」という見出しがあり、まさにこれだ!と思ったものでした。

その後、雑誌とインターネットを調べて、Linuxをインストール(Linux Mintを選びました)。
つかいはじめは、フォルダの仕組みやソフトウェアの使い勝手に戸惑いましたが1,2週間ほどで慣れました。
振り返ってみると、MacからWindowsに乗り換えた大学生時代に比べたら、違いは少ないかな。。。

Linuxを使うようになってから、端末でのコマンド操作とか、おもしろそうなソフトを探したりとか、パソコンが面白くなりました。
いまでは、プログラミングの勉強用と、Web閲覧用、そしてファイルサーバー、音楽サーバーなど、Linuxを活用しています。

Linuxとは

Linuxというのは、OS(オペレーションシステムの略)の一種です。
例えばパソコンだと、マイクロソフト社のWindowsOSやアップル社のマッキントッシュで使われているmacOSなどがあります。
またスマートフォンだとiphoneのiOSやアンドロイドなど、耳にしたことがあるのではないでしょうか。

OSの役割はコンピュータを動作させるための最も基本的なもの。
パソコンやスマートフォンの電源をいれたときに、壁紙やアイコンを表示したり、マウスやキーボード、タッチパッドなどでアプリケーションを動かしたり、あるいは音や映像をだしたり。
まさにコンピュータの土台みたいなものですね。

Linuxは、1991年、フィンランド出身のリーナス・トーバルズ氏(Linus B.Torvalds)によって、開発されました。
ちなみにリーナス氏が開発したのが、その根幹となるLinuxカーネル。コンピュータのハードウェアの管理やプログラムの実行制御などを行います。そして、このLinuxカーネルは、「狭義のLinux」を指しています。

一方で、「広義のLinux」を指すのが、Linuxディストリビューションです。
Linuxカーネルだけでは、コンピュータを動作させることが難しいため、シェルやライブラリなどの最低限のプログラムや基本的なソフトウェアなどOSとして機能するようにまとめたものをLinuxディストリビューションと呼ぶのです。

Linuxの特徴

次にLinuxの特徴です。
ざっくり挙げると次の4点でしょうか。

無料で使える

一番の特徴はオープンソースであること。
オープンソースというのはソフトウェアのソースコードを無償で公開し、だれでも自由に改良、再配布ができるようにしたものです。つまり無料で使えるということです。
結果としてLinuxは、サーバーやスーパーコンピュータなど、世界中で使われています。
アンドロイドもLinuxがベースで作られたOSですし、「富岳」をはじめスーパーコンピュータのほとんどがLinuxでうごいています。

ソフトウェアも無料で使えるものが多い

インターネット、メール、文書作成や表計算など多くのソフトウェアも、無料でインストールできます。
ちなみに、Windows、macOS、そしてLinuxは別のOSなので、その上で動作するソフトウェアに互換性はありません。
Webブラウザの「Google Chrome」のようなLinux版が用意されているものや、オフィスソフトの「LibreOffice」や、音楽ソフトの「Rhythmbox」のようなWindowsのソフトウェアと似たようなソフトウェアがたくさんあります。
探してみるのも面白いですよ。

種類が豊富

LinuxをOSとして使う場合、様々なLinuxがあります。。
種類が豊富ということは、パソコンの性能や用途によって選べるということ。
例えば10年以上前の性能の低いパソコンでも、それに合わせたLinuxディストリビューションをインストールすれば、十分使うことができるのです。

汎用性が高い

Linuxが無料ということもあるのですが、様々な用途に使えます。

例えば、次のような用途があります。
ファイルサーバーやメディアサーバーとして使いたい。
音楽専用に使いたい。
プログラミングの勉強に使いたい。
(例えば、プログラミング教育用に作られたRaspberry PiというコンピュータのOSは、RasbianというLinuxディストリビューションが用いられています。)
コマンドの勉強やLinux自体をいじってみたい。

初心者にも、そこから一歩すすんだ人にも、Linuxはおすすめできます。

【RaspberryPiについて】
「RaspberryPi」は、英国ケンブリッジ大学の教授らが設立した、ラズベリーパイ財団が開発した、名刺サイズのコンピュータです。
このコンピュータは、子供や学生にコンピュータ技術を学んでもらい、プログラミングの知識や技術を身につけてもらうことを目的に開発されました。
最新のRaspberryPi4は、CPU 1.5GHz, メインメモリも2GB、4GB、8GBと3種類が用意されており、4GBで7千円、8GBで1万円程度で購入できます(2020年10月時点)。
このRaspberryPiはOSにLinuxを用いており、推奨OSの名前はRaspbianです。

Linuxは何ができるの

普通の人がパソコンでやること

普通の人が、普通にパソコンでやることはだいたいできます。
例えば、インターネットやメール、WindowsでいうところのWordやExcel、Powerpointといった文書作成、表計算、プレゼンテーション、音楽や映像を再生、編集するマルチメディアなど。
様々なソフトウェアが用意されているので、自分に合ったものが見つけられるのではないでしょうか。

ちなみに下記のようなソフトウェアがあります。

・インターネット:Firefox, Chrom
・メール:Thunderbird
・文書作成/表計算/プレゼンテーション:LibreOffice
・音楽再生:Rythmbox
・動画再生:
・お絵かき:GIMP

パソコンを自分好みにカスタマイズできる

Linuxの特徴でも書きましたが、Linuxは様々なディストリビューションがあります。
ディスクトップ画面一つとっても、Windowsに慣れているから、Windowsと同じように使いたい。
Macみたいなデザインにしたい。
とにかくシンプルにしたい。
いろいろな希望をかなえることができます。

CAD、音楽、映像

むかしは、Linuxは音楽や映像が苦手だったようですが、今では、使いやすいソフトウェアが開発されたおかげで手軽に、しかも無料で楽しむことができます。

各種開発

「C言語」や「Java」、「Ruby」や「Python」など数多くのプログラミング環境もかんたんに整えられます。
例えば話題の人工知能(AI)も、機械学習を用いたソフトウェアがすでに無料で使えますし、自分で本格的に開発することが可能です。
もちろん、自分好みのOS(ディストリビューション)も開発できます。

サーバーをつくることができる

サーバーは、他のコンピュータに対して、自分の持っている機能やデータなどのサービスを提供するコンピュータのことです。
Webブラウザで検索したり、メールソフトでメールを読んだりするときは、実はWebサーバーやメールサーバーに、ネットワークを通じてアクセスして、サービスを利用したり情報を受信したりしています。
Linuxはコストが安く、セキュリティレベルも高いことから、サーバーとして使われることが非常に多いです。

ファイルサーバーをつくって、写真や音楽、動画を家族で共有したり、Webカメラと組み合わせて監視サーバーをつくるなど楽しみかたもいろいろありそうです。

Linuxのできないこと、苦手はことは?

Linuxには、iTunesはインストールできません。
ソフトウェアに関して言えば、サポート体制は有償のほうが手厚いです。
他にPCゲームに関していえばWindows向けが主流です。
もっとも、Windows向けゲームでも互換性ソフトウェアなどによりLinux上で動作させることができるので、十分楽しめるとは思います。

どうすればLinuxが使えるの?

Linuxディストリビューションを、パソコンにインストールすることで使えます。
Linuxディストリビューションはインターネットからダウンロードすることができます。
ダウンロードしたディストリビューションを、DVDやUSBメモリなどのメディアに書き込んで、パソコンにインストール。
インストールのやり方次第でWindowsとLinuxの併用も可能ですし、メディアから直接起動する「ライブ起動」という方法もあります。

日経Linuxという雑誌では、ディストリビューションが収録されたDVDが付録になることもあり、インストールの手順やそれらディストリビューションを使った活用術・遊び方も紹介されるので、試してみるのも良いと思います。

Linuxのディストリビューションを紹介

それでは、Linuxディストリビューションにはどのようなものがあるのでしょうか。
主な種類として、「Red Hat系」「Slackware系」「Debian系」の3つがあります。

ここでは代表的なものだけを紹介します。

「Ubuntu」(Debian系)

Ubuntuとは、「他者への思いやり」を意味する言葉で、だれでも使いやすいOSのを目指して開発されており、Linux初心者の方にお薦めしやすいディストリビューションです。


メールソフトやプログラミングツール、サーバーソフトウェアなど様々なソフトウェアが含まれており、普段使いのパソコンにも、サーバーにも適しています。
6ヶ月ごとに新板をリリースすることを宣言していますし、またセキュリティに配慮して設計されており、LTS版を利用すれば5年間に渡りセキュリティアップデートが提供されます。

Ubuntuは、使いやすい反面、パソコンの要求スペックが高いです。
そこで、Ubuntuからの派生ディストリビューションとして、要求スペックの低い軽量な「Lubuntu」「Xubuntu」「Kubuntu」というディストリビューションがあります。
これらのディストリビューションをUbuntuフレーバーとよんでいます。
「Lubuntu」はデスクトップ環境に、動作の軽い「LXDE」を使っています。ソフトウェアも軽量なものが選ばれています。
また、「Xubuntu」では、デスクトップ環境に「Xfce」、「Kubuntu」は、デスクトップ環境に「KDE」を採用しています。
使用環境によっても、『重たさ』は変わるようなので、興味がある方は試してみるのも面白いと思います。

なお、32bitは2018年までしか開発されていないようで、サポート期間も限られるので注意が必要です。

「Puppy Linux」

(3.0まではSlackwareと互換性があったが、現在はUbuntu/Debian系も。独立系と分類されることも)

超軽量OSの代表であるPuppy Linuxは、オーストラリアのBarry Kauler氏によって開発されたディストリビューションです。


軽いこともあって、ハードディスクにインストールする必要がなく、CDやUSBから起動させることができます。
最小システム要件が「CPU Pentium 166MMX」と「メモリが256MB(5.x系)」と古いパソコンでも動作可能でしたが、最近では7.x系で1GBのメインメモリが必要になることもあるようです。
ソフトウェアは最小限ですが、自分で追加して楽しめます。
Puppy(子犬)をモチーフにした壁紙やアイコンが特徴。

わたしはMSI のネットブック「Wind Netbook U100(2008年製 WindowsXP)」に、Puppy Linuxをライブ起動させて使っています。
日本語で使いたかったこともあり、「パピーリナックス Precise-571JP」を選びました。
2014年から日本語版の開発が止まっているようですが、問題なく使えています。

「elementary OS」(Ubuntu/Debian系)

「elementary OS」は、Ubuntuをベースに オリジナルのデスクトップ環境「Pantheon」を採用したディストリビューションです。


Linuxディストリビューションの中でも、見ためがmacOSに似ているのが特徴。
「必要なアプリだけを厳選しました。不要なものはありません。」
と、シンプルで、デザインにこだわって作られています。
また、生産的で集中した状態を維持できるように、「マルチタスク画面」「ピクチャーインピクチャー」「非通知モード」といった機能をそなえています。

mac使いの知り合いが変に気取っていたということもあり、「デザインが」とか「洗練されている」とか、そういうのから個人的に距離をおいていたのですが、今回、「elementary OS」を調べてみて、インストールしてみたくなりました。
近いうちにレビューしたいと思います。

「CentOS」(Red Hat系)

「CentOS」は、特に企業向き、サーバー向きのディストリビューションです。


Linuxディストリビューションの中でも、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)は企業向けに有償で提供されています、CentOSはそのソースを利用して、無料で配布しています。
特徴は、安定性と長期間のサポート。
2014年にリリースされたCentOS7の、メンテナンス更新期限が2024年。
10年間のサポートになるのです。

記事を書いていたら、CentOS最新版のサポート終了の記事がでました。

一方で、Red Hat系には、「Fedora」というディストリビューションもあり、こちらは最新の技術を積極的に実験し、その内容をRHELへ取り込んでいます。

過去にサーバー用途で、「CentOS」を使おうか迷ったことがありました。
当時はDebian系を勉強中でしたが、Red Hat系と微妙にコマンドが違ったため混乱し、結局断念しました。
次にサーバーを構築する際には、試してみたいな・・・。

まとめ

使わなくなったパソコンが放置してあるけどもったいない、Windowsのサポートが切れてしまったという人に、Linuxをおすすめしました。

Linuxが、普通のパソコンとして十分使えるだけでなく、プログラミングやサーバーをつくるといった、一段上の使い方ができることがわかっていただけたのではないでしょうか。

無料で、しかも自由に使えるので、もし失敗しても一からやり直せるのが魅力です。
また、自分の用途やパソコンの性能にあったディストリビューションを探してみるのも、とても面白いです。

ぜひ、Linuxに触れてみてください。