2006年に、東北地方のとあるバーでひっそりと始まった『モルトの会』

これは、その年の7月から12月までの記録です。

 

第3回、テーマは『樽のことを知る?』

第1回、2回とモルトの会が開催されました。

参加者は徐々に増えて10人を超えましたが、第2部がスタートするころには、15人以上に。確かに、リーズナブルな値段でこれだけいろいろな種類のモルトウィスキーが飲めるわけですから、皆さん、興味も湧きますよね。

 

ただ、ありがたいことに地方のバー。

めちゃくちゃお客さんが増えるとか、めちゃくちゃウイスキー通の人が来るとか、そういうことがないのが、素人の私たちにとっては嬉しい。

2回のモルトの会で、皆さん、気になったのは「樽」

樽によって香りや色、風味が変わるんですよね。ということで、マスター、テーマを『樽』にしてくれました。

 

第1部 「樽」についての講義とお酒。

マスターY氏、今回は講義資料も準備してくれました。

 

さっそくマスターの講義です。

 

樽熟成の由来

昔々、イングランドから酒税を徴収されるのを嫌ったスコットランドの密造者が、当時たくさんあったシェリーの空き樽にウィスキーを隠しておくと、琥珀色に色づき、おいしくなっていたとか・・・。

 

樽熟成の効果

蒸留したてのウィスキーの元(ニューポット)は無色透明でアルコールの刺激も荒々しい。

樽熟成させることにより

・ 樽の成分が溶け出し、色と風味が加わり、深みが出る。
・ 揮発性の高い刺激的な成分が蒸散し、まろやかになる。
・ 酸化やエステル化により独特の香味が生まれる。

などの効果がある。

スコッチウィスキーは3年以上、樽熟成させなければいけない。

 

樽の材質

ウィスキーの樽は、漏れにくく加工しやすいオーク(Oak)の柾目板で作られる。

オークとは、日本では楢(なら)や樫(かし)と呼ばれる、いわゆるどんぐりの木。

樽に使うオークは

・ホワイトオーク :学名クエルクス・アルバ。バニラ香が特徴。ウィスキー、ワイン樽などに使用。産地 :北米大陸東部など
・コモンオーク :学名クエルクス・ロブール。タンニンが多い。ブランデー、ワイン樽などに使用。産地 :スペイン北部、フランス・リムーザン地方など
・セシルオーク :学名クエルクス・ペトラエ。香味のバランスがいい。ワイン樽などに使用。産地 :フランス中央部・東欧など(まれにスコットランド)
・ミズナラ :学名クエルクス・モンゴリカ。古樽は香木のような香り。ウィスキー樽に使用。産地 :日本

樽の大きさ

樽は小さいほど早く香味が付く。一般的に長期熟成には大きな樽が向いている。

主な種類は

クオーター :容量約125 ℓ。バットの1/4の大きさ。現在はあまり使われない。

バレル :容量約180ℓ。主にバーボンウィスキーの熟成に使用。

ホグスヘッド :容量約250ℓ。バレルを組み直して作ることが出来る。

バット :容量約500ℓ。シェリーの熟成などに使用。

樽の履歴

樽は新しいほど香味が強く付く。スコッチウィスキーでは新樽はあまり使われない。

一回目の使用をファーストフィル、二回目はセカンドフィルやリフィルカスクなどという。

さらに数回使用したものは、プレーンカスクやウィスキーカスクといい、通常50年以上使われる。

また、前に入れていたものの名前で呼ぶこともある。(バーボン樽、シェリー樽、ポート樽など)

製品用語

ヴァッテドモルト・ヴァッティング :複数の蒸留所のモルトウィスキーの混合。

フィニッシュ :樽熟成の最後の期間、樽を変えて香味を加えること。

カスクストレングス :樽熟成させたままのアルコール度数。60度前後のものが多い。

シングルカスク :他の樽と混ぜず、一本の樽だけのもの。

 

マスターの講義の後は、モルトウィスキーを味わいます。これが毎回楽しみ。

 

① グレンモーレンジ(GLENMORANGIE)アルチザンカスク  46% 北ハイランド

生産したウィスキーを全てシングルモルトとして出荷し、スコットランドで一番飲まれているシングルモルト。ポットスチルはスコットランドで最も背が高く、ボディは軽め。

本品の樽は、アメリカ合衆国ミズーリ州のオザーク山の日陰斜面でゆっくり育ったホワイトオーク*を2年間自然乾燥させ、バーボンウィスキー(ヘブンヒル社から、近年ジャック・ダニエル(テネシーウィスキーですが…)に転換)の熟成に使ったホグスヘッド*をファーストフィル*で使用した。

色は、やや明るいゴールド。

バニラっぽい風味はホワイトオーク*の特徴。

おつまみはバニラシュガーパイと。

 

② コンパスボックス スパイスツリー  46% ヴァッテドモルト*(ハイランド・スペイサイド)

使用モルトはダルユーイン、ティーニニック、そしてブローラとロングモーンのヴァッティング*。

本品は、ファーストフィルのバーボン樽*と、アメリカンホワイトオークのホッグスヘッド*で、10年以上熟成したものを、フランスのセシルオーク*の樽に移しかえ熟成させた。

その際、2年間自然乾燥させたフランス産のセシルオークの板を、ウィスキーの中に入れた(インナースティープ)実験的なウィスキー。樽以外のフレーバーを付けたということでスコッチウィスキー協会からクレームがついたので、これが最初で最後とのこと。

色は、深く明るいオレンジ。

熟しきったフルーツのような甘さや、ホットでスパイシーな味わいに樽の影響を感じる。

おつまみはポークジャーキー。

 

③ ザ マッカラン(THE MACALLAN)18年  43% ハイランド東北部スペイサイド

麦芽の品種からこだわり、スペイサイドで一番小さいポットスチルを使い、ガス直火焚きで蒸留する。そうして生み出される酒質は、まさにフルボディ。

本品は、スペインのコモンオーク*でバット*を作り、現地で3ヶ月間シェリーの発酵に使った後に、さらに2年間ドライ・オロロソ・シェリーの熟成に使い、その後ばらさずに、ファーストフィル*70~80%、残りはセカンドフィル*で熟成させたもの。

18年ものは毎年リリースされているが、本品は1985年以前に蒸留した原酒によるもの。

色は、赤みがかった暗い琥珀色。

濃厚なフルーティーさや香ばしさ、タンニンのコクがファーストフィルシェリー樽の特徴。

ローストカシューナッツ。

 

④ エドラダワー(EDRADOUR)11年ソーテルヌフィニッシュ  55.7% ハイランド中部

スコットランド最小の蒸留所。ポットスチルは、法的にこの蒸留所より小さなものを使ってはいけないことになっている(約2000ℓ)。クリーミーな舌触りと豊かな香りは、独特の存在感。

本品は、フランス・ボルドーの貴腐ワイン産地、ソーテルヌのCh.リューセックの空き樽でフィニッシュ*させた。カスクストレングス*のシングルカスク*で1994年蒸留440本限定。

色は、やや鈍いオレンジ色。少し加水すると、貴腐ワインのフルーティーな香りが花開く。

ブルーチーズに蜂蜜。

 

いやいやいやいや、講義を聴きながらの試飲、最高です。

それにしても面白い世界だなー。

 

第2部、お楽しみの飲み比べ。

マスターが準備してくれたサンプルリストには、調べられる限りの使用した樽が明記されています。

それを確認しながら、

「このウィスキーはこんな風味があるね、こんな色合いだね」

と楽しみます。

 

今回も素晴らしい会でした。

 

<サンプルの表示>

曖昧な部分もあるが、調べた範囲で樽の種類を表示。

ホワイトオーク セシルオークなどは、ウィスキー以外を入れたことのない樽。(1stは初回使用)

シェリーは、シェリーを入れた樽。(使用回数は特定できない。)

ペドロヒメネス ポートなどは、その空き樽を初回使用。

 

  1. グレンモーレンジ(GLENMORANGIE)10年 40% ホワイトオーク
  2. グレンゴイン(GLENGOYNE)スコティッシュオーク 43%(ホワイトオーク&シェリー)15年→セシルオーク1年
  1. アベラワー(ABERLOUR)アブナ 6% シェリー
  2. グレンファークラス(GLENFARCLAS)105プルーフ 60% シェリー
  3. ザ グレンリベット(THE GLENLIVET)12年 40% ホワイトオーク(&シェリー
  4. ザ グレンリベット15年 フレンチオーク 40% (ホワイトオーク&シェリー)&コモンオーク
  5. ザ マッカラン(THE MACALLAN)12年 40% 1st & 2ndシェリー
  6. ザ マッカラン(THE MACALLAN)エレガンシア12年 40% シェリー&フィノシェリー
  7. オーヘントッシャン(AUCHENTOSHAN)10年 40% ホワイトオーク&シェリー
  8. オーヘントッシャン スリーウッド 43% ホワイトオーク10年→シェリー1年→ペドロヒメネス半年
  9. ローズバンク(ROSEBANK)15年 (グレンカラ社) 2% ホワイトオーク
  10. ボウモア(BOWMORE)12年 43% ホワイトオーク&シェリー
  11. ボウモア(BOWMORE)ダーケスト 43% ホワイトオーク12年→シェリー2年
  12. ラフロイグ(LAPHROAIG)10年 43% ホワイトオーク
  13. ラフロイグ(LAPHROAIG) クオーターカスク 48% ホワイトオークホワイトオーク1/4サイズ
  14. ブッシュミルズ(BUSHMILLS)モルト16年 (アイリッシュ) 40% ホワイトオーク&シェリーポート
  15. ニッカ キーモルト余市12年 ウッディ&バニリック (日本) 55% 1st ホワイトオーク
  16. ニッカ キーモルト余市12年 シェリー&スイート (日本) 55% シェリー
  17. コンパスボックス(COMPASS BOX)スパイスツリー(ヴァッテドモルト) 46% ホワイトオーク10年→セシルオーク

料金追加サンプル

  1. グレンモーレンジ(GLENMORANGIE)アルチザンカスク 46% 1st ホワイトオーク
  2. エドラダワー(EDRADOUR)11年 ソーテルヌ 7% (ホワイトオーク)→ソーテルヌ
  3. ザ マッカラン(THE MACALLAN)18年 43% 1st & 2ndシェリー
  4. スプリングバンク(SPRINGBANK)ラムウッド 6% ホワイトオーク7年ラム5年
  5. ボウモア(BOWMORE)16年 リミテッドエディション 8% ホワイトオーク
  6. ラガヴァリン(LAGAVULIN)ダブルマチュアド 43% ホワイトオークペドロヒメネス

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