2006年に、東北地方のとあるバーでひっそりと始まった『モルトの会』

これは、その年の7月から12月までの記録です。

 

第4回のテーマは、『モルトウイスキーの源流・支流』

これまで、山や川、海とウィスキー、スコットランドの島とウィスキー、そして樽とウィスキーといったテーマでモルトウィスキーを味わってきました。

そろそろ歴史についても触れてみたい、というウィスキー好きさんからの要望があったようです。

マスターからの「モルトの会案内」も気合が入ってきました。

 

実はこの会の直前に、マスターから蒸留所見学も誘われていました。

ニッカウヰスキー宮城峡蒸留所です。

マスター、勉強熱心なんですよね。きっと新しい発見とウィスキーを求めに行ったのでしょうね。

 

私は飲んだくれてましたが・・・。

 

第1部 講義とお酒を味わう時間

 

今回も、マスターの講義からスタートです。(ちなみに内容は2006年のもの)

 

WHISKYの由来

まず、ギリシャやエジプトの文化から錬金術が生まれ、中世のアラブ文化圏で発達した。錬金術師達は、醸造酒を蒸留しアルコール濃度を高め、ラテン語で「アクア・ビテ(Aqua vitae=生命の水)」と呼んだ。

それが、地中海周辺でキリスト教文化に触れ、8世紀ごろヨーロッパ各地へと広まり、蒸留酒一般を指す言葉になった。

アイルランドやスコットランドでは、ケルト民族がビールを蒸留し、「アクア・ビテ」を自分達の言語のゲール語に訳して「ウシュク べーハー(Uisgebeatha)」と呼んだ。

18世紀になると「ウィスキー(Whisky)」という記録が現れることから、「ウシュク べーハー」が転訛し「ウィスキー」という呼び名が一般的になったと思われる。

ちなみに、アイルランドでは「Whiskey」と綴る。

 

モルトの源流 アイルランド

ウィスキー(ウシュク ベーハー)に関する最古の記録は、12世紀のアイルランドにおけるものとされる。

そのことから、アイルランドはウィスキーの発祥の地といわれる。

アイルランドは、18~19世紀半ばには蒸留所数160を数え、世界最大のウィスキー生産国だった。しかしその後は、連続式蒸留器で作るグレーンウィスキーを使ったスコッチブレンデッドウィスキーの登場や、アメリカの禁酒法、英国との対立、第二次世界大戦などの影響により、スコッチに王座を譲る。

現在、蒸留所は統合再編され3ヶ所のみ(ブッシュミルズ・新ミドルトン・クーリー)になってしまった。

アイリッシュウィスキーは伝統的に、麦芽にピート焚きはせず未発芽大麦なども一緒に発酵させ、大型ポットスチルで3回蒸留して作られる。麦の風味を感じる、なめらかな味わいが特徴。

 

モルトの河口 ローランド

スコットランド南部のローランド地方は、グレーンウィスキー蒸留所やブレンド業者が集中するスコッチウィスキー業界の中心。ここから世界中にスコッチウィスキーが送り出される。

反面、伝統的なモルトウィスキー蒸留所は減少し、休止中も含め現在10ヶ所ほど

ローランドモルトの伝統的な製法は、麦芽のピート焚きはごく軽めで、3回蒸留。香味はおだやかで繊細と評されるが、現在残っている蒸留所のモルトは、それぞれしっかりした個性を持つ。

 

モルトの支流 ジャパニーズ

1918年に竹鶴政孝(後のニッカ創業者)が、ウィスキーの製法を学ぶため、スコットランド留学へと向かい、帰国後、鳥井信治郎が興した㈱寿屋(現 サントリー)山崎蒸留所の工場長となる。

そして、1924年11月11日11時11分11秒に稼動を開始し、国産モルトウィスキーの歴史が始まった。

以来80年の歴史を持つ日本のウィスキーは、近年、国際的な品評会において、最高位の賞を次々と受賞し、ジャパニーズウィスキーとして独自の評価を確立している。

製法は、ほぼスコッチにならっているが、バランスのとれた味わいが特長。

スコットランドでは、ブレンデッドウィスキーを作る際、蒸留所所有会社の系列を越えてブレンドを行うこともあるが、日本では各社の原酒のみで作るため、各社の蒸留所内で個性の違う様々な原酒を作り出している。その技術力は高く評価されている。

 

おまけ 世界のウィスキー

現在、ウィスキーを生産している国は80カ国近くあると言われる。

歴史の古さや生産量の多さから、五大ウィスキーと呼ばれるのは

アイリッシュスコッチアメリカン(バーボン等)カナディアンジャパニーズ

 

ちなみにスコッチ、ジャパニーズ、カナディアンではWhisky、アイリッシュ、アメリカンではWhiskeyと綴るのが一般的。一部アメリカンでもWhiskyと綴る場合があるが、それは生産者のルーツの違いと考えられる。

 

皆さん、資料を読みながら、マスターの説明に耳を傾けます。

そして、お酒を味わう時間。

うずうずしております。

 

お勉強も良いのですが、やはりこれ(モルトウィスキー)がなくては・・・。

 

① レッドブレスト(REDBREAST)15年  46%  ピュアポットスチルウィスキー  アイルランド

南部の新ミドルトン蒸留所で作られた伝統的なアイリッシュウィスキー。原料に麦芽以外を含むので、シングルモルトではない。(連続式蒸留器を使わないので、グレーンウィスキーでもない。)

ピート焚きしない麦芽と未発芽大麦を混合し、時間をかけて発酵させ、大型ポットスチルで3回蒸留。15年樽熟成させた後、フィルターをかけずに製品化されている。

3回蒸留による繊細さと、原料由来の豊かな香りと甘さ。熟成を経て、後味には南国のフルーツのような風味を感じる。

おつまみは、ドライマンゴー。

 

② ブラドノック(BLADNOCH)16年  55%  ローランド

スコットランドで一番南に位置する蒸留所。ローランドモルトの古典的逸品といわれる。

創業当初の1820年頃から、ある時期まではローランド伝統の3回蒸留だったが、現在は2回蒸留。

1993年に操業を休止したが、新しい所有者によって2001年に再開された。

本品は操業休止前の原酒を使い、カスクストレングスで新たにボトリングしたもの。

素直だがしっかりした酒質。ほとんどピート香のない、少し草っぽい、フルーティー(レモン?バナナ? メロン?アプリコット?)な香味はローランドモルトの典型。

クラッカーにクリームチーズをのせて。

 

③ 軽井沢蒸留所VINTAGEシングルカスク12年  60.8%  ジャパニーズ

大黒葡萄酒(現メルシャン)が、長野県北佐久郡御代田町の葡萄農場内に建設し1956年に操業開始。

通称「日本で一番小さい蒸留所」。1976年、国産初のモルトウスキー商品「軽井沢」を発売した。

現在では希少品種になったゴールデンプロミス種の麦芽をスコットランドから輸入し、小型のポットスチルで蒸留、シェリー樽で熟成するなど(マッカランを連想させる?)、個性の強い深い味わいの本格的なモルトウィスキー作りを目指し、他のジャパニーズモルトと一線を画している。

本品は1989年に蒸留、シェリー樽で12年熟成させた、シングルカスク原酒(410本限定)。現モルトマスター内堀修省氏サイン入り。こうばしく濃厚なシェリー香、フルボディな酒質は、独特の存在感。

アーモンド入りビターチョコと合わせます。

 

④ 富士御殿場蒸留所シングルモルト20年  43% ジャパニーズ

米シーグラム社・英シーバス社との合弁会社キリン・シーグラム(現キリンディスティラリー)が、富士山を望む静岡県御殿場市に建設、1973年に操業開始。

「クリーン&エステリー」を味の理想とし、ピート焚きの軽い麦芽を富士山の伏流水で仕込み、蒸留液の最良の部分だけを小さい古樽(バレル樽180ℓ)で熟成させるなど、独自のこだわりがある。

本品は、2000年を記念してリリースされた限定品。操業以来マスターブレンダーを務め、2000年に引退、2005年に亡くなられた荻野一郎氏のサイン入り。(現在チーフブレンダーは早川健氏)

フルーティーな香味と穏やかなスモーキーさ、なめらか口あたりだが、余韻に熟成の深みを感じる。

クラッカーにフォアグラパテをつけて。

 

源流、支流、それぞれに味わいが違いますね。オリジナルのこだわり、そして各国(?)独自のこだわり。

 

ところで、今回、Sさん(モルトの会発足のきっかけをつくった人)が、おつまみに燻製をつくってきました。

彼は、もともと彼は日本酒が大好物で、「日本酒と肴を一緒に味わうこと」をとことん愛す人。

ウィスキーに絶対合う!!と持ってきてくれたのです。

確かに、合います。美味しい。

これが彼のこだわり。

 

第2部 今宵も飲み比べ

今回の第2部用サンプルは、「アイリッシュ」「ローランド」「ジャパニーズ」

ジャパニーズウィスキーのサンプルには、宮城峡蒸留所で手に入れたウィスキーも並んでいます。

第3回で学んだシングルカスク、ぜひ試してみたいですね。

 

アイリッシュ

  1. ドロップ オブ ジ アイリッシュ 45% (7~12年ヴァッティング ブラックアダー社瓶詰)(ブッシュミルズ(BUSHMILLS)蒸留所 3回蒸留 1608年創業 現存最古のウィスキー蒸留所)
  1. レッド ブレスト15年 45% (原料 : 麦芽、未発芽大麦混合≠モルトウィスキー)(新ミドルトン(MIDLETON)蒸留所 3回蒸留 モルトウィスキー製造なし)
  1. リムラック シュア 8%(1992年蒸留8年熟成 ピート焚き麦芽使用 アデルフィー社瓶詰)(クーリー(COOLEY)蒸留所 2回蒸留の新アイリッシュ 1987年創業)

 

ローランド

  1. オーヘントッシャン(AUCHENTOSHAN)10年 40% (3回蒸留の伝統を守る最後の蒸留所)
  2. オーヘントッシャン スリーウッド 43% (極甘口シェリー・ペドロヒメネス樽使用)
  3. ブラドノック(BLADNOCH)15年 55%(スコットランド最南 1993年休止 2001年再開)
  4. グレンキンチー(GLENKINCHIE)12年 フレンズ オブ クラシックモルト 7%(限定品)
  5. リトルミル(LITTLEMILL)8年 40% (1772年創業 スコットランド最古? 2003年閉鎖)
  6. ローズバンク(ROSEBANK)15年 2% (3回蒸留 1993年閉鎖 グレンカラ社)

 

ジャパニーズ

  1. 11. 山崎10年 40% / 12年 43% (1924年操業開始 大阪府三島郡島本町山崎 サントリー)
  2. 余市12年 45% (1936年操業開始 北海道余市郡余市町 ニッカ)
  3. 余市キーモルト12年 ウッディ&バニリック 55%/ シェリー&スイート 55%
  4. 軽井沢シングルカスク12年 No.3207 58.6%(1956年操業開始 長野県北佐久郡 メルシャン)
  5. 宮城峡12年 45% (1969年操業開始 宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地 ニッカ)
  6. 宮城峡 蒸留所限定シングルカスク10年 No.302062 62%
  7. 19. 白州10年 40% / 12年 43% (1973年操業開始 山梨県北杜市白州町 サントリー)
  8. ゴールデンホース秩父12年 50%(1946年操業開始 埼玉県羽生市 東亜酒造)

 

料金追加サンプル

ジャパニーズ

  1. 宮城峡 蒸留所限定シングルカスク12年 Soft & Dry No.44173 64%
  2. 宮城峡 蒸留所限定シングルカスク12年 Fruity & Rich No.3578 58%
  3. 富士御殿場蒸留所20年 43% (1973年操業開始 静岡県御殿場市 キリン)
  4. 山崎18年 43%
  5. 余市 蒸留所限定シングルカスク20年 No.121909 56%
  6. 宮城峡 蒸留所限定シングルカスク20年 No.53482 55%

 

普段は、ジャパニーズウィスキーをこんなに飲める機会がないので、しっかりと味わいました。日本人好みのくせのなさ、滑らかさが素晴らしいですね。。。

スポンサーリンク